アタッチ
複数のオブジェクトをスタック編集する時に必要な機能。
単純な例として、Maxでスプラインを二本描いて、次にその二本をつなげようとしてもそのままではつながらない。その理由は、二本のスプラインは内部データ、すなわちスタックでは分離されており、相互関係を持つことができないからである。つなげるためには二つのスタックを「アタッチ」でひとつにする。
二本のスプライン。このままでは連結できない。
アタッチは、複数のスタックに論理的な関連をもたせる機能にすぎず、オブジェクトの階層化やグループ化とはまったく別個のものである。階層化やグループ化は別途コマンドが存在する。
アタッチは、スタック間に階層や従属関係を作るわけではなく、オブジェクトの形状も位置も変わらない。ただし、
- アタッチされた側のオブジェクトの名称とテクスチュア、Pivotは変更される。
- Surface ToolのCrossSectionモディファイアが連結する時の順番はアタッチした順番。
のような考慮すべき点がある。
また、オブジェクトを選択する時、アタッチしたオブジェクトは一個のものとして扱われ、個別に選択できない。 アタッチはスタック編集で必要な機能なので、ビューレベル、すなわちTransforms層での移動、回転、反射などの時は行う必要がない。
「作成パネル」のStart New Shapeがオフになっている状態で複数のスプラインオブジェクトを作成すると、その一連のスプラインは自動的にアタッチされ、Editable
Splineとなる。このようにして作成されたSplineはCompound Splinesとも呼ばれる。
NURBSの「修正」パネルで作成するオブジェクトは、現在修正しているオブジェクトに対し、自動的にアタッチされる。
「アタッチ」ができないとすれば
「アタッチ」ができないとすれば、次の原因が考えられる。
- アタッチが論理的に意味をなさない。
- アタッチの方向がまちがっている。
- GroupメニューのAttachでアタッチしようとしている。
1.に関して、リファレンスやインスタンスによって複製されたオブジェクト同士ではアタッチができない。これは、作成パラメータが共通だからである。また、オブジェクトが、Editableでない時も、アタッチはできない。ただし、Lineは作成直後からEditableなので、右クリックメニューに「アタッチ」が表示される。(Editbleについては「編集可能という概念」を参照。)
アタッチの方向とは、異なるオブジェクトをアタッチするときの順番のことで、EditableなオブジェクトからEditableでないオブジェクトはアタッチできても、EditableでないオブジェクトからEditableなオブジェクトはアタッチできない。
たとえばLineとCircleをアタッチする場合、LineからCircleはアタッチできても、CircleからLineはアタッチできない。
CircleやSphereをアタッチするときは、Editable Spline、Editable MeshやNURBSに変換する必要がある。あるいは他のEditableなオブジェクトからアタッチしてもらう。
3.のGroupメニューのAttachは、ここで説明しているアタッチとはまったく別。すでにグループ化されたオブジェクトに、新たにオブジェクトを追加するためのもの。
さらに注意点
アタッチは、アタッチする組み合わせによって、アタッチされる側のオブジェクトの属性を変える。
たとえば、Editable Meshにした円からスプラインをアタッチすると、スプラインは画面から消える。これはソフトウェアのバグではなく、この操作がスプラインを交点の集まりに変えてしまったからである。バグでないことは、アタッチしたオブジェクトのサブオブジェクトの「頂点/Vertex」に行くと、スプラインを作っていた交点が表示されるのでわかる。この場合、Editable
Splineに変換した円からスプラインをアタッチすれば、スプラインが消えることはない。
NURBSスプラインはさらに特殊で、ほとんどすべてのオブジェクトとアタッチできるが、アタッチされた側はCV-サーフェイスかCVカーブ(NURBSのサーフェイスとカーブ)に自動的に変換される。
コマンドによっては、編集対象のオブジェクトをアタッチをしなくとも、自動的に行うものもある。たとえばNURBSの「Uロフト」の場合、スプラインをアタッチしなくとも、自動的にアタッチしてロフトしする。そしてスプラインはCV-NURBSに自動的に変換される。つまりUロフトは、1.アタッチ、2.スプラインのNURBS変換、3.ロフトを同時に行う。だから、もし、Maxを使い始めて真っ先にUロフトなどをやってしまうと、アタッチの概念にとまどうかもしれない。
1 rail, 2 rail sweepも同様で、自動的にアタッチを行う。
だからと言ってNURBS操作ですべての場合にアタッチが免除されているわけではなく、たとえば「結合/Jjoin」でNURBSサーフェイスをつなげる時は、アタッチしないとつなげられない。
もしNURBSの編集が思ったとおりにできないなら、この辺の操作の順番に問題があるといえる。
その他:
スタックモディファイアにSurfaceが乗っている時、その下のレベルでアタッチできない。
このようにアタッチは煩雑であるが、バージョン4.0ではかなり改善されているので、いずれアタッチを意識せずにモデリングができるようになるかもしれない。
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